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オイタパパです。
我が家にはトイプードルがいます。
名前は『くう』。
女の子で年齢はもう少しで10歳になります。
生後2ヶ月で我が家に来てからずっと、我が家のアイドルとして家族みんなに癒やしを与え続けてくれています。
ご存知のようにオイタパパの次男(以下、オイタと表記します)は、ダウン症のある20歳過ぎの青年です。
トイプードルのくうが我が家に来ることとなったのは、オイタの動物恐怖症がきっかけでした。
思いきって犬でも飼えば少しはオイタの動物恐怖症もマシになるのではないか?
そういう思いから、トイプードルのくうに我が家に来てもらうことにしたのです。
今日はダウン症と犬について、お話をさせていただきます。
ダウン症と犬の話
成長に伴いオイタはスズメさえ怖がる動物恐怖症に…
オイタも小さい時は、まだそれほど動物を怖がってはいませんでした。
例えば、よちよち歩きの頃は公園にいた鳩にパンの耳を撒いて食べさせたり、追いかけ回したりしていましたし、通っていた幼稚園にポニーが来た時には、背中に乗せてもらって楽しむことも出来ました。
また小学生になってから行った動物園では、キリンに直接エサを食べさせることが出来る動物園だったので、自分の手から直接キリンに人参を食べさせることも出来ていたくらいです。
それがその後のどういった経験により、オイタが動物恐怖症になっていったのかはよく分からないのですが、トイプードルのくうが我が家に来ることになる特別支援学校 中等部1年生の時には、なんとスズメが近くに来ることさえ怖くて仕方がないような状況になっていました。
小さい頃には自分よりめちゃくちゃ大きなキリンにさえ、人参を食べさせることが出来ていたのに、中学生になった時には自分の手のひらよりも小さなスズメさえ、怖くなってしまったのです。
原因は不明です。
動物が嫌いという事ではありません。
当時、我が家にはオイタ兄が飼っていたシマリスのチェリーがいたのですが、カゴの中にいる時のチェリーは好きで、よく「チェリー、チェリー」と名前を呼びながら見ていました。
しかし、スズメのように近くに寄ってくることがある動物は、例えどんなに小さくても怖かったのです。
なので当然のように、シマリスのチェリーがカゴから外に出て遊んでいる間は、別の部屋に隠れていました。
オイタも犬と仲良くしたい
近所に住む同じくダウン症の幼馴染のM君の家では、オイタが中学生になる少し前からミニチュアダックスフントを飼いだしました。
それまでは、お互いの家で代わる代わる遊んでいたのに、M君の家で犬を飼い始めてからは、M君の家に遊びに行くことが怖くて出来なくなりました。
M君が犬と楽しそうに散歩しているのを、羨ましそうに眺めていることもありました。
犬が嫌いな訳ではありません。
犬が怖いだけです。
M君と同じように犬を可愛がってあげたいし、M君の家にも遊びに行きたい。
オイタの中では葛藤が続いていたようです。
オイタも犬と仲良くしたい。でも犬は怖い。
うまくしゃべることの出来ないオイタなので、直接そのように話しをした訳ではありませんが、その切ない思いは見ているオイタパパにも十分伝わってきました。
オイタの家でも犬飼うか?
実は犬を飼うことはオイタパパの夢でした。
オイタパパは公団住宅(今のUR都市機構の団地)で育ったので、犬や猫を飼いたくても飼えないし、飼いたいと口にすることもありませんでしたが、いつかそのうち犬を飼うんだという思いをずっと持っていたのです。
そうは言ってもまだまだ子供が小さなその頃は、本当に犬を飼おうという思いにまでは至っておらず、そのうち犬飼いたいなぁと休みになるとペットショップへ家族揃って出かける程度でした。
ある時ふと思いつきました。
オイタの動物恐怖症も逆に犬を飼えば怖さもなくなるのでは?
失敗したらどうしようとの思いも無くはありませんが、やって見るだけの価値があるようにも思いました。
今、オイタと暮らすマンションであれば、犬一頭であれば飼うことが出来ます。
そして、オイタの切ない葛藤を見ていると、なんとかしてあげなきゃなぁ との気持ちが日増しに強まります。
正月明けのある日、別に何かに後押しされた訳ではありませんが、オイタパパは決断しました。
そしてオイタに聞いたのです。
「オイタは犬好きか?」
「うん」
「オイタの家でも犬飼うか?」
「うん」
「でも犬怖いだろ?」
「…」
「じゃあ犬はやめようか」
「だめ」
「じゃあオイタの家でも犬飼うか?」
「うん」
そして、いつも犬を見に行っていたペットショップへ家族揃ってでかけたのです。
オイタと犬のくう
オイタの家に家族が増えました。
我が家に来たのは生後2ヶ月のメスのトイプードル。
すごく怖がりでおとなしく可愛いらしい子犬でした。
名前はオイタ弟が『くう』と決めました。
その時によく見ていたカッパが主人公のアニメ映画にちなんだ名前です。
まだまだオイタは怖くて近づくことが出来ないけど、少しずつ少しずつ距離を縮めていきます。
オイタが怖いのと同じように、トイプードルのくうもすごく臆病で慎重な子だったので、くうの方からもオイタに近づいてはいきません。
それが良かったのでしょう。
くうが来てから3週間ほどしたある日、その時は来ました。
オイタが自らくうを抱っこするといい出したのです。
それまでは、こちらから聞いても「ムリ」といっていたのに、突然「オイタ、くうだっこ」と言いました。
オイタとくう、お互いに緊張の面持ちでしたが、あっさりと儀式は完了です。
この日を境にオイタの動物恐怖症は一挙に軽くなっていきました。
幼馴染のM君の家にも以前のように気軽に遊びにいけるようになりました。
M君の家ではミニチュアダックスフントの他に黒い子猫も増えていましたが、もちろん問題ありません。
オイタの切ない葛藤は、くうが我が家に来ることできれいさっぱり消えました。
今日も作業所から帰ってくるなり、くうを抱き上げ頬ずりしているオイタがいます。
今日の話は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございます。