ダウン症の子供は普通と違う?共に過ごした20余年を振返る

ダウン症の子供オイタが過ごした普通の日々を綴っています

はじめまして。
『オイタの家』を運営しております”オイタパパ”と申します。

このサイトでは青年”オイタ”が生まれた20数年前を起点にそこから現在までの間に彼と彼の家族、友人、知人が経験してきた様々な出来事を紹介させて頂きたいと考えています。

 

1.オイタについて

オイタは、オイタパパの子供になります。
性別は男。20歳代前半。
上と下も男の3人兄弟の真ん中、次男です。

彼にはちゃんとした名前がありますが、今現在も自身のことを”オイタ”と言っているので、このサイトでは、彼のことを”オイタ”と書いていくことにしたいと思います。

同じように母親のことは”アーヤン”と言うので”オイタアーヤン”、既に書いておりますが、父親のことは”パパ”と言うので”オイタパパ”と書いていきます。

オイタはある先天性疾患を持って生まれて来ました。
その先天性疾患は『ダウン症候群』(英名:Down syndrome)といい、一般的には『ダウン症』と呼ばれることが多い病気です。

詳しいことはこれからこのサイトでもおいおいと書いていくことになりますが、ダウン症には様々な合併症が付随することが多くその代表的なものとして『知的障害』があります。

ダウン症は知的障害を持つことが多いという特徴により、生まれた時あるいは生まれる前からダウン症という先天性疾患を持つ子供の家族は多くの不安を抱えるようになります。

オイタが生まれてダウン症と分かってからオイタパパとオイタアーヤンも大きな不安を抱えることとなりました。

 

2.ダウン症の子供の親が抱える不安

ダウン症の子供を授かった親は何故不安を抱えるようになるのでしょうか。

オイタが生まれた20余年前のことを思い出してみると、オイタパパとオイタアーヤンにとっては、そもそもダウン症って何?という所からのスタートでした。

当時は今ほどはインターネットも発達しておらず、調べたいことがあれば人に聞くか本を読むしかない時代です。

家にあった育児や家庭の医学といった本を見ると、ダウン症は知的障害を持つことが多いというようなことがわずかな行数で書かれているだけ。

知的障害ってどういうことなのかすらもよく判らず、図書館や大きな本屋さんを回り”ダウン症”と書かれた本を探し読み漁ってはみるものの、不安が消えるようなことは何も見つけることが出来ませんでした。

分かったことは『7,800人に1人の割合で生まれる』『知的障害になることが多い』『独特な顔立ちになる』『心臓疾患を併発することが多い』くらいのもの。

だから何なんだろう?
だったら何をすればいいんだろう?
何か出来ることはあるんだろうか?

結局何も分かっていないのと同じ。不安は募るばかり。

この子はなんでうちに生まれてきたんだろう
うちで障害のある子供なんて育てられるのか
二人目のこどもなんていらなかったんじゃないか
心臓が悪くてすぐに死んでしまうのかもしれない

嫌な考えが浮かび、そんなことを考える自分自身が嫌になる。不安は募るばかり。

ダウン症ってなんだろう、知的障害ってなんだろう
分からないことは不安しか生み出しません。
オイタがダウン症と分かってからは不安との闘いの日々となりました。

 

3.ダウン症の子供は普通と違う?

ダウン症は知的障害になることが多い。一番最初に知ったことです。
”障害”というある種の重い響きを持つ言葉が、『うちの子供は普通と違う』という漠然とした考えになり、更に大きな不安へと繋がっていきます。

『ダウン症の子供は普通と違う』オイタが生まれた20余年前オイタパパはそういう風に考え不安を抱えていました。

でも本当にそうだったのでしょうか?
20余年経った今、『ダウン症の子供は普通と違う』のか改めて考えてみます。

五体満足である。若干短い指がある。
心臓に軽い異常があった。今は自然治癒した。
母乳を吸う力が弱かった。今は肥満が心配なほどなんでもよく食べる。
歩けるようになったのは2歳を過ぎてから。今は自転車にも乗れる。
6ヶ月くらいから発達支援施設に通っていた。
公立の幼稚園に通っていた。
公立の小学校に通っていた。
中学からは特別支援学校に通っていた。
今は作業所で毎日働いている。
言葉は理解している。でもうまくしゃべれない。
耳の病気で何度か入院した。
スマホを持っている。ラインも使っている。
親友とは今でも毎週のように遊んでいる。
カラオケが好き。

その時々に自分に適した学校に通い、今は自分に適した仕事をし、今も休日は友達と遊ぶ。
これってごく普通のことですよね。

まぁ異論を言う人もいるのかもしれないけれど。

ダウン症の親になってから20余年たった今、オイタが毎日家から作業所に働きに出るようになった今、オイタの兄が数年前に独り立ちした今、オイタパパはこう思います。

『ダウン症の子供の子育ても健常な子供の子育ても大変な時もあるし楽しい時もある。ダウン症があってもなくてもそれは関係ない。関係ないということは普通っていうこと』

ダウン症の子供は普通と違うのか?ともし聞かれることがあればこう答えます。
『ダウン症の子供も健常な子供も子供は子供。何の違いもなく僕の子供』

では何故オイタが生まれダウン症だと分かった時『うちの子供は普通と違う』という考えを持ち大きな不安を抱えていたのでしょうか。

それは、知らなかったからだと思います。
ダウン症がどういうものなのか知らなかったというのは勿論ですが、
健常な子供であろうとダウン症の子供であろうと子育てそのものが大変だということを知らなかった。
からだと思います。
逆に言うと健常な子供の子育ては楽だと考えていたのかもしれません。

 

4.今のオイタパパは知っている

3人の子供の子育てを実践した(一部実践中)今のオイタパパは知っています。

ダウン症の子供と健常な子供の違う点はダウン症という先天的疾患があるかないかだけ。
ダウン症があろうがなかろうが、子供は一人ひとり個性を持っています。
ダウン症があろうがなかろうが、成長のスピードは一人ひとり違います。
ダウン症があろうがなかろうが、大なり小なり病気になります。
ダウン症があろうがなかろうが、大なり小なり進路で悩みます。
ダウン症があろうがなかろうが…

子育てって大変なんですよ。
その分、楽しさや楽しみがあるんだと思います。

でも、オイタが生まれた頃のオイタパパは知らなかったんです。
子育てそのものが大変だということを。

子育てが大変だということが見えていない中で『ダウン症』という知らないものが突然目の前に現れた。
目の前に突然知らないものが現れると不安になりますよね。
目の前の知らないもののせいで、これから先大変なことになるんじゃないかと。

しかし実際の子育ては違っていました。
ダウン症があろうがなかろうが、大変な時は大変。楽しい時は楽しい。ダウン症だから大変なことしかないなんてことは有り得ません。

確かにダウン症だから大変な場面も時にはありますが、逆にいうとダウン症だから大変な場面がどんな場面なのかを事前に知っていれば、何か対策を考えられるかもしれません。

 

5.知ることが大事

知れば余計に不安になるんじゃないか?

そういう場合もあるでしょうね。
でも、何がなんだか分からない不安は打つ手がありませんが、知っていることに対する不安は対策できる可能性が高くなります。
今スグは何も出来ない場合でも、準備していくことは出来るでしょう。

まずは知りましょう。
今はオイタが生まれた時代とは違います。
インターネットという便利な道具があります。

形のない不安に怯えるだけではなく、知って形をはっきりさせましょう。
姿かたちがはっきりすれば不安との闘い方も見えてきます。

まずは知りましょう。
ダウン症って何なのか。
知って出来ることがないか考えましょう。
出来ることがあれば準備しましょう。

決して無理をする必要はありません。
出来ることから始めればいいんです。

ダウン症の子供の子育ても健常な子供の子育ても子育ての大変さ楽しさは何も変わりません。
まずは目の前の不安が何なのかを知りましょう。

 

6,オイタの家について

ダウン症ってなんだろう?
ダウン症だと成長が遅い?
ダウン症だと言葉が話せない?
ダウン症だと幼稚園に通えない?
ダウン症だと友達ができない?
ダウン症だと働けない?
ダウン症だと死ぬのが早い?
ダウン症だと…

分からない時はオイタの家を覗いて下さい。
知りたい時はオイタの家を覗いて下さい。
不安な時はオイタの家を覗いて下さい。

そこにはオイタが歩いた道が書かれています。
時に歩き、時に休み、時に引き返し、そして今もオイタが歩く道が。

その道を眺めて見ることで、これからあなたとあなたのお子様が歩んでいく道がおぼろげにでも見えてくると思います。
あなたがこれから準備すべきものが見えてくると思います。

時には反面教師にして下さい。
同じ道を歩く必要などはないのですから。

もし、それでも分からない時、迷う時があれば聞いて下さい。
すぐにお答えできないかもしれませんが、オイタが歩いた道をもう一度思い返し、あなたの不安の正体を見つける鍵を探してみます。

オイタの家では、あなたの不安を直接取り除くことはできませんが、オイタとオイタの家族が過ごした20余年のありふれた暮らしを見ていただくことで、形も無く捉えどころも無かった不安が明確な課題に変わっていくのではないかと考えています。